『あなたも首にならないようにがんばれよ』からの続き
テイムを7時にホテルに迎えに行く、テイムはすでにロビーにいた、テイムの奥様もそばにいる普通はこんなに朝が早いと妻はベッドからいってらっしゃいするものだが昔の日本の奥様みたいにちゃんと着替えて夫を送り出す。
車の中でテイムに奥様の事をほめる、「素晴らしい奥様と結婚できてあなたはラッキーです、」
『サンキュー、私もそう思っている、あなたも早くいい人を見つけなさい』
車中で中国工場の経過および今後の予定を説明する、
今後、効率と管理を考えて承徳工場の生産を徐々に減らして青島工場をメインにしていきます、そのために最新のミシンおよび検針機、梱包用の機械その他を投入します、資金は当社が出せば投入した機械を持ち逃げされますから、全て青島工場が、中国銀行から借ります、当社は一切資金の保証はしません、その代わり生産枚数の保証はします。
青島工場は国営企業ですから政府の後押しで銀行から借りる事ができます、将来も合弁する気は毛頭ありません、いつでも工場を変えれるように逃げ出せるように準備します。
青島工場だけだとリスクがおおきすぎますので、もう一軒同じような工場を青島地域で早急に見つけます、二軒をお互い意識させて競争させます、安く作るためでなく、良い商品を作らせるために競争させます。
工場に利益がたっぷり出ればよい商品を作る努力を惜しみません。
社会主義に染まった中国人の意識を資本主義の考えにかえさせます。そのために毎朝当方が作った社訓を唱和せせています。
テイムが感嘆して叫ぶ、「素晴らしい、あなたを選んだ私の目に狂いはない、社訓の内容を教えてください」
「英文に翻訳した社訓はかばんの中にあります,機中でお見せします」
飛行場に到着、すでにミキちゃんが来ていた、テイムは、「朝早くから来さしてゴメンなさい」と三木ちゃんを抱きすくめる、私は怖い顔をして、テイムに「日本では簡単に抱擁したりしない、アメリカでは当たり前のことが日本では勘違いされる,気をつけたほうが良い」
テイムは大げさに肩をすくめる、三人で朝食をゆっくり食べて機内に入る、テイムと私はビジネスシート、ミキちゃんはエコノミー、
『彼女一人ぐらいならビジネスシートでもよかったのに かわいそうです』
「今日はテイムと打ち合わせをしたいから私もビジネスにしましたがいつもは私はエコノミーです、一社員がビジネスに乗るなんてとんでもないです、」
『オー厳しい社長、、さっそく英文で書いた社訓を見せてください』
( 青島工場の社訓 )
①資本主義社会においては、お客様が第一です
②資本主義においては信用をなくせば全てなくす、一つでも粗悪な商品を作れば、長い時間を費やして得た信用という最大の財産を瞬時にして失うことになる
③青島工場において、我々の最重要項目は、『いかに早くできるか』ではなく、『いかに品質の良い商品を作るか』である。
④資本主義社会では工場の給料は社長が与えてくれない、商品を買ってくださるお客様が与えてくれます、それ故販売価値のある商品を作り続けなければあなた達の給料はでません
⑤資本主義社会では、良い品質と同時にコストダウンを意識しなければ競争にまけます、品質を阻害しないように常にコストダウンを図ってください。
⑥良い材料を安く仕入れる事も大切ですが、効率よく仕事をし、失敗のない完璧な仕事をする事が最大のコストダウンです。結果貴重な時間や資源、お金、を節約できます。
⑦常に買う側にたって物作りすれば,自ずと正しい答えが分かります。
⑧我々の最高指導者は、お客様です
読み終わってテイムは、大げさに『素晴らしい、これは完璧な社訓だ、アメリカの本社にもこの社訓を会社に掲げます』
「アメリカには社訓はないのですか」、
『わが社には残念ながらありません、アメリカでは他の会社でもあまり見かけない、あなたを見ていると日本の会社が世界で発展していく理由がよく分かります、本社は、あまり努力せずに大きくなったから、皆に厳しさが足りない、このままではいつか没落する、日本の精神を本社に取り入れたい、』
「少し日本人を買いかぶりしすぎます、戦後我々日本人はいつもアメリカをお手本にやってきました、アメリカ人が先生なのです、」
『オー日本人はいつも謙虚、ところでミスター池田、お願いがある、ミスカポネをアメリカ本社に欲しい、彼女を経営人の一人としてとして迎えたい、』
「それは素晴らしい事です、しかしまだ当社に来て半年です、もう少し鍛えなければお役に立たないと思います、あと半年まってください、重役に相応しい人物に育てます、」『分かりました期待してまちます』
「ミスカポネにはこのことは直ぐには話しません、彼女ならきっと期待にこたえると思います、本当にうれしいことです」
カポネが本社の重役になればこちらも遠慮なくものが言える、双方にとってこんな素晴らしいことはない。
よその会社の10年分の仕事を一年でやってしまいそうな勢いが出てきた、ただ心配なのはカポネは外人好みの美人、アメリカの男の甘い言葉に誘惑されないようにしっかりと教育しないと、会社に迷惑をかけることになる。
私の仕込んだカポネが颯爽とビジネスで世界を飛び回れば、こんな痛快なことはない、うれしくてワクワクしてきた。
約三時間のフライトで青島空港に到着、いつもの通訳が迎えに来てくれた、迎えの車を見てビックリ、あの恐ろしい中華レストランのオーナ宗さんが最高級のベンツできている。
テイムもビックリ、車中で説明する「彼は青島工場の社長の友達、詳しい事はホテルでお話します」
この前の事件以降は私が一回一人で行ったがそのときは出てこず、今回女子社員が同行することを事前に漏れたと見えてさっそくやってきた、しかしチーフでなく別の女子社員でがっかりしたみたい。
通訳を通じて私に質問「前の彼女達は何故今回来ないのか」
「今回は彼女がデザインしたの商品の説明するために連れてきた、仕事のやくわりによって連れてくる社員が変わります、私の隣にいるのはアメリカ本社の社長です、今後ともよろしくお願いします」
「私は中華レストランの社長宗です、よろしく、こんばんは当方で食事してください、」
「喜んでお伺いします」
ミキちゃんがキツイ目で中華レストランのオーナ宗さんをにらんでいる、
工場に着くと総経理が、飛んできて迎えてくれた、さっそく打ち合わせに入る。こちらの要望書はすでにFAXしている、納得しておれば直ぐに双方がサインして終わる。
総経理がずるそうな目をして『銀行は資金の半分を日本側に出してもらえといいます』
「分かりましたそれではミシンを半分にしてください。こちらも発注を半分にします当社は以前から承徳の工場で生産しています、別に困りません、そのほうがリスクが半分ですみます、それ以外の契約の中身はなにか問題がありますか?」
『日本の社長はキツイ、銀行に全額だしてもらうようにもう一度交渉します』
「それでは契約は銀行が全額出してくれるまで延期しましょうか?」
『すでに日本製のミシンもその他の設備もすでに発注しています、銀行は大丈夫です、全額出してくれると思います、契約してください』
「ミシンやその他の機械も契約どうりの機械でないと発注しません、契約書には納期遅れも含めて詳しい事がいっぱい書いていますが、全て了解ですか?了解ならお互いサインしましょう」
日本語と中国語と英語の契約書にそれぞれサインする、サインしたからといって安心できない、契約違反で裁判を起こしても日本の企業が勝ったためしは一度もない、そんな事は百も承知、だからリスクを避けるためにいつでも逃げれるようにしてある。
我々が契約している間、ミキちゃんが工場長と商品の打ち合わせ、製品見本と仕様書があれば彼らの理解も早い。
後は私がテイムを工場に案内する、工場を案内しながら先程の契約のいきさつを説明する、「銀行が資金を半分しか出さないと言うのは嘘、すでに銀行から全額出ている、我々から半分出さしてその金をポケットに入れるつもり、彼らはオーナではない単に工場経営を任されている役人にすぎない、在任中にいかに私服を肥やすかが彼らの目的である。」
テイムは目を大きくして『ミスター池田はすごい』
「中国人には騙されない、なぜなら彼らは100%悪人、そのつもりで交渉すれば彼らの嘘が分かる、我々が騙されるのは、日ごろ善人なのに欲に目がくらんで詐欺をする人、このような人にはついだまされる、」
『なるほどあなたは心理学の天才、ところで大学時代あれほど中国語が流暢に喋っていたのにどうして通訳を通じてしか会話しないのですか』
「中国語が分からないふうを装っておれば、彼らは油断して私の前で仲間同士本音を喋る、おかげで彼らの嘘がもっと分かる」
『オーマイゴット、あなたはすごいやっぱり天才』
「褒めていただいてありがとうございます」
その晩はしかたなしに中華レストランで食事、大悪人の宗さんが顔を見せない、欲しい獲物がいないと来てもしかたがないらしい、総経理がやたら落ち着きがない、何故今回チーフを連れてこないか私に聞く、「チーフも今回くるはずだったが、お父さんが病気で故郷の北海道に帰った、当分会社にも来ない、」
『宗さんにチーフも来るといってしまった、だから宗さんの機嫌が悪い、』
「そんな話より大切な仕事の話をしましょう、ミシンが入る日が決まれば私がもう一度来ます、今回のミシンは立ちミシンです従来の方法では出来ません,ミシンを円形状に並べて、4人がグループ制で縫製します、今までの部分縫いではなく、グループ内で商品が完成します。」
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